上海視察日記
2004/03
 

路面店とデパートの認識の違い

 路面店=国際的認識は、個性的店舗が多く店舗特色が魅力的。
路面店から多店舗化に成長する事も多い。
しかし上海では、

・「路面店は開店も早ければ閉鎖も早い」
 (つまり売り逃げ店舗が多い)

・「閉鎖後の責任所在が不明」
 (販売責任・補修修理責任を取らない)

・「路面店利用は壊れても平気な物、低単価な物だけ」

・「高級品等はデパート購入が望ましい」
 (店舗閉鎖後も、デパートに対して責任追及が出来る)

・「比較購買が原則だから、品揃えではデパートの勝ち」
 (品質&価格帯)

 だが、一番大事なのは上海人のプライドや見栄である。どこの店で購入したか?(場所)=これが最大重要要素。同じ商品が、某外資系デパートと路面店とにあったとすると、中流以上の上海人は、間違いなくデパートで購入する。(→自慢出来る要素になる)多店舗化する場合にも新規の出店を希望する相手先に対しても、「○○デパートにも出店している」が信用度アップに繋がる。消費者のほうもまた然り。
 従って、この市場に登場させる第一号店には、上記の要素が無ければ、なかなか消費者への浸透は難しくなる。店舗イメージもさる事ながら、立地イメージが重要視される市場性を理解しなければならない。

 

インタビュー


服飾デザインを勉強しているという女の子がいたので、さっそくインタビューしてみました。
Q:日本の印象?韓国の印象は?
A:日本のファッション雑誌など上海にはあるし、TVで取り上げられる事も多い。一歩先に進んでいるという感じ。韓国は「韓国」というテーマで取り上げられることも多く、例えばファッションとかいうくくりで取り上げられることは少ない。日本ブランドは高いというイメージ。韓国ブランドの方がサイズが合うし安い。
Q:日本ブランドで知っているブランド、有名なブランドはあるか?
A:ユニクロ
Q:上海服飾(中国のファッション誌)には、ナイスクラップや、ローリーズファームやキャンツーなどが載っているが?
A:名前はなんとなく知ってるが、具体的にはわからない。「日本ブランド」という感覚で見てしまう。
Q:ユニクロはジョルダーノやバレーノなどと同じ?
A:違う。イメージとして少し先を行っている。 ジョルダーノやバレーノはスポーツ感覚(いつでもどこでも着れる)で着ている人が多い。まさに上海人にとってのベーシック。ユニクロは小物もたくさんあるし、デザインが少し違う。オシャレに敏感な人はユニクロを選ぶ。
Q:若い人たちに人気のブランドは?
A:ONLY、ETAM。デザインやカラーがよい。
Q:若い人たちにとってオシャレなエリア、場所は?
A:香港名店街、自由市場、淮海路。南京西路、新天地は普通じゃない。

 

音楽、雑誌


・雑誌
 日本文化はすでに入り始めている。
 雑誌はVIVI、Ray(瑞麗)、with(秀)、Oggi(今日風采)など。 LUCi(露茜)価格は¥280ほど
上海雑誌は¥90くらい。一番人気は「上海服飾」。
上海の若い女性にとって日本のファッション誌は、登場するモデルの肌の色やルックスも似たアジア人であることから、自分が着たらどんな風になるのかが想像しやすい。雑誌のモデルも欧米人のそれと比べると自分からそんなにかけ離れていないような気がするので、親近感を覚え、自身のコーディネートに取り入れやすいのである。新しいもの好きな上海人は、情報量が増えるに従ってすべての新しいものにトライしたくなるので、流行の移り変わりの速い日本のファッションは彼らにもちょうど合っているのでは。だが、雑誌を参考にはしているけれど、まだまだ実際の選択肢が少なすぎるし、日本ブランドは高い。事実、マスメディアの宣伝する上海と実際の上海では結構な温度差がある。
ローカル雑誌の方でも、ローリーズファーム、キャンツー、ナイスクラップなどが紹介されているところを見ると、進出してきていないとはいえ、着実に日本ブランドが、少しづつではあるが、上海に根付いてきていることは確かだ。


・音楽
音楽はコピーCDが¥140から。人気は宇多田ヒカル、浜崎あゆみ。
正規盤は¥700〜¥800。
音楽についてはコピー商品の方が日本の流行に敏感だ。例えば、正規盤を売る店で酒井法子は売っていても、ケミストリーや中島美嘉は売っていない。
そのほか、コンビにでは名探偵コナンの漫画が43巻までずらーっと並んでいたり、日本の食材(オニギリやパン、お菓子)はたくさん売られている。TVではMTVが日本のPVが流していたり、「日本速度体験旅」という日本カルチャーを紹介する番組も流れていた。日系企業のCMは日本で使われているCMがそのまま使われたりもしている。

 

おしゃれへの欲求(髪、ピアスなど)
 服装以外でも、一つのキーワードとしてヘアカラーがある。僕が初めて上海に出させて頂いたのが2001年の1月、つまり3年前だ。当時は髪を染めている女性はあからさまに水商売の女性達だった。しかし今では若い普通の女の子の茶髪は珍しくない。ただ色が強く、文字通り茶色で、日本のヤンママのような子も多い。
 ピアスをしている人も多くなった。同じく3年前はピアスという言葉を知っているのだろうか?と思うような子が多かったにもかかわらず、今回街を回る限りでは、半分くらいの子がピアスをしている。
 このように、年々おしゃれに気を配る人々が増えていることもわかる。化粧品のイベントやワゴンセールなどは今や上海のいたるところでやっていて、若い女性の興味を惹きつけている。 中国の若い人たちのファッション(ライフスタイルも含めた)への注目度は年々高くなっていると思う。 今の中国をあらわす言葉として、1年経てば新しい建物が建ち道に迷う、というものがあるが(←これはもちろん大袈裟だが)、ファッションにしても然り。歴史は古くとも、今の中国自体が、若い国という状態のような気がする。だから新しいものに対する貪欲さはすごいと思う。過去の10年から今日までを考えると、10年後にはNYやロンドンや東京などに並ぶカルチャー発信地になっているかもしれない

 

商習慣

・販売員マナー
ハイクラスなデパートや日系デパートではあまりみかけないが、他のデパートでは私語、肘付きなどはよく見られる。ヒドイ時は通路を挟んでブランドどうしでの私語なども見受けられる。国営の百貨店や一般商店では、店内で麺をすする。外資系デパートでは商品を見ていると、相手が外人だろうと、異性であろうと一応きちんと声をかけてくる。丁寧な言葉で「贈り物ですか?」と。一般商店→国営百貨店→外資系百貨店の順でサービスが良くなってくる。一般的にマナーが悪いと言われている中国だが、お店の水準が上がると、教育面でそれなりに差がでてくる。少しづつではあるがサービス面もよくなってきているのだろう。もちろん、まだ日本とサービスを比べるには及ばない。また、所得格差が大きい中国では、メーカーは販売員の万引きなどに注意している。常に枚数を数えるだけの人間を雇う所もあるとか。
・閉店時間
開店は日本と変わらず10時からが多い。しかし閉店の方は大抵9時、あるいは10時まで店を開けているところが多い。
・工事中…?
上海のデパートは工事中でもトイレは使えるし、開店時間中でもお店の塗装をしたり、商品の入れ替えなどをする。