上海視察日記
2004/03
 

生産現場を見て


 3月20日(土)から24日まで上海近郊の工場などを見させていただきました。最初は常熟という場所に行きました。常熟はいくつもの工場が並んでいるという場所で、実際の現場なども見せていただきました。若い工場のスタッフが一枚一枚商品を縫っているところを間近で見ることができ、大変勉強になりました。工場とはもっと機械化されているものだと思っていたので、想像以上に手作業で、大変な作業に驚きを感じました。例えば、裁断なんかもレールの上にカッターを走らせて切っているとは知らなかったし、ラインストーンを手作業でつけてるとは思いませんでした。編んだ生地が丸い筒状で出てくるとも知らなかったし、すごく新鮮な体験でした。ここは瀧定や住金物産や伊藤忠なども取引しており、日本向けの商品に慣れているのと、地理的にも上海に近いというのが利点でした。商社を抜いて直に取引ができれば、工場に出向けば他メーカーがどういうものを作っているかという情報も容易に入るし、コスト削減にもつながるので会社にとって好都合の工場でした。
 工場では問題点や、改善点などを確認し、スピード感、同じスタンスでの取組みなど、もっと密接に工場と商社、商社と当社で取り組む必要性や、今以上に検品の質と商品のクオリティを上げる努力などを、確認という意味も含めて話をしました。自分自身も生産の知識をつけて、中国に来ているときは、生産サイドのお手伝いも出来ればと思いました。

まとめ

 個人的に今後注目しているエリアは南京西路。今はまだ「プラザ66」や「CITICSQUARE」や「梅龍鎮伊勢丹」などが代表的な建物で、日本人から見ても高級なショッピングゾーンで、外資系企業に勤めるビジネスマンや観光客が多く、ショッピングは一部の人間が行くところという雰囲気が強い。しかし、今年は5月1日に静安寺という、南京西路の少し先に香港そごうがOPENし、9月には日本ブランドを集めた日本城ができる。”ジャパンフロア”が売りの大洋百貨店もまもなく出来るはずだ。韓国ブランドを集めた韓国城も5月にOPENする。今以上に人が流れるようになるだろうし、買える商品の選択肢も増える。今までハイクラスなイメージの南京西路自体のイメージの幅が広がると同時に、購入する客層が広がり、日本ブランドの認知度も今後確実に上がる。認知が上がれば、これまで、イトキンやユニクロやワールドなどしか知らなかった消費者にも日本ブランドを知ってもらう事ができる。日本ブランドの風穴があくのは南京西路からという可能性も非常に高い。日本のヤングカジュアルの横流し品屋は狭い割りに結構混んでいた。日本のヤングカジュアルのデザインの需要は確実にある。
 そういう南京西路の開発、発展の動きを中心に今後の展開を選択していくのがベストだろう。2003年1〜11月の中国の主要百貨店アパレル小売が全体では数量で8.6%増、金額では19%も増えているという事実もあり、上海の消費者は確実に力をつけてきている。内需はますます強まり、変化し、大競争時代もすぐ来るかもしれない。わざわざ中国用に上代を落として作らなくても、売れる時代がくるかもしれない。ほとんどの人がパンツしか履いていない上海の女性達にスカートを提供できるかもしれない。日本の一般的なブランドの価格帯で需要がないわけではない。いきなり大きな需要に変化する。それが今の中国だ。ゆくゆくは出店する事を考えるのであれば、中国生産→中国販売ルートは必至である。今から生産体制の整備も含め、小売りの準備も含め、2つの側面から中国市場を捉える視点が必要である。