|
中国最高の銘茶といわれる「西湖龍井」は、浙江省杭州市、西湖周辺の山地で
生産されています。杭州市は「西湖」の美しさで知られますが、
「西湖龍井」はさらに世界中でその名が知られています。
「西湖」周辺の山地のお茶は、千数百年の歴史を持っており、唐代にその名が
全国に知れ渡りました。現在の「西湖龍井」ができたのは、この百年ほど前のことで、
清の乾隆帝が<観採茶作歌>という「西湖龍井」の歌を詠んだ事で有名です。
「西湖」のお茶には「獅、龍(龍井)、雲、虎、梅」の分類があり、
その中で「龍井」は最高のお茶とされています。急須にお湯を注いだ時に、
すべて茶柱になり、花のような上品な香りが広がります。
「西湖龍井」は、「西湖」湖畔の険しい山々にその産地が分布しています。
この地域は、気候は温暖で、雨量が多く、土壌が肥沃で、 いつも“雲”や“霧”で
覆われています。常緑樹が生い茂っていて、茶の芽が絶えず成長する
「3月から5月」が収穫期です。
特に「清明(4/5〜4/20日)」の時期に採取されたものを「明前茶」と呼び、一般的に、500gの「明前茶」を作るのに7〜8万の茶の芽を摘むと言われています。
これまで、「西湖龍井」の作り方は秘伝とされてきました。中国には「7分釜で焙り、
3分炒る」という言葉があり、炒る方法については長年研究がなされてきました。
茶の質や状態などによって火加減や炒る時間を微妙に調節していきます。
現在では電気釜が主流になっており、すべて自動でやるので、
簡単に温度調節や品質管理ができるようになりました。 |
|
|
|
|
「黄山毛峰」は安徴省の黄山市という場所が産地です。
黄山は中国で最も有名な観光地のひとつで、実際には72の山が集まった場所を
そうよびます。観光地として有名で、特に以下の4つが見所と言われています。
・「奇松」 岩山に生育している奇妙な形の松
・「巧石」 あちこちに落ちている奇妙な形の石
・「怪岩」 屹立する奇妙な形の岩山
・「雲海」 年中「霧」に覆われていて、山頂が霧に隠れている様子が「雲」の上に
「島」が浮かんでいるようにも見えます。
「黄山毛峰」の茶園は主に、「雲谷寺」、「松谷庵」、「吊橋庵」、「慈悲閣」 周辺の
海抜1200M、傾斜は30〜50度の山々に分布しています。気候は温暖で、雨量が多いため、
湿度は高く、土壌は肥沃で、日照時間が非常に短いのが特徴です。
このような特殊な条件の下、茶は「太く」「柔軟」で、「長時間の保存」に耐え、
「渋みと芳香」を持つようになります。
「黄山毛峰」の起源は清・明の時代まで遡り、300年くらい前には、すでにその名が
知れ渡っていたと言われます。茶摘みの時期も「清明(4月5日前後)」の時期から
「立夏(5月6日前後)」までと非常に限られています。
摘み取られた芽や茎は、比較的古いものだけを均一に選り分け、加工されます。
茶摘みの時期になると、茶工場の近隣にはお茶のにおいが広がります。
その香りは甘みのある深い香りで「ビャクラン」にも似ているといわれます。 |
|
|
|
|
中国で著名な緑茶の一つで、「江蘇州」、「太湖洞庭山」がその産地です。
もともと農家の人が、野生のお茶を自給用に摘み取っていたものを、
ある日取りすぎてその場に捨てた所、それが自然に蒸され、強い香りを発したために、
「びっくりするほど匂いのよいお茶」と言う名前で飲まれるようになったのが始まりです。
その後、清の「康煕皇帝」が太湖に遊覧に来た時にそれを飲んでみた所、
そのおいしさに感動したが、名前に上品さがないので、「碧螺春(ピールオチュン)
−巻き貝のように形が縮れている」という名前をつけたと言われています。
「太湖」は国で三番目に大きい淡水湖で(琵琶湖の3.2倍)、観光地としても有名です。
洞庭山は「太湖」の太湖浜にあり、「東山」は船のような形で「太湖」の半島に伸びており、
「西山」は数キロを隔てて、湖に浮かぶ島になっています。
気候は温暖で、冬は暖かく、夏は涼しい、空気は新鮮で、雲や霧も一面に広がっています。
こうしたお茶の栽培に最適の環境の中で、研究が重ねられ、特色ある「洞庭碧螺春」が
作られました。
最高の碧螺春は先に水を入れ、そこにお茶を入れるとよいと言われています。
茶葉は徐々に沈んでいき、香りを放ちます。これは碧螺春だけが持つ特徴です。
お茶摘みは「春分(3月21日頃)」から「谷雨(4月20日頃)」まで行われます。
一芯一葉(ひとつの芽からひとつの葉しか取らない)が基本で、
その中からさらに選りすぐったものが使われます。
一般的に朝早くに摘み、午後までに選り分け、夕方までに炒らなければならないと
言われています。「洞庭碧螺春」は海外でもその名が知られており、
主に高級な贈り物として、国内外で販売されています。 |
|
|
|
|
鉄観音は青茶類に属し、中国で最も有名な烏龍茶のひとつです。
「安渓鉄観音」は福建省安渓県で栽培されています。安渓県は山に囲まれていて、
気候は温暖、雨量も多く、茶の木の生育に適していることから、茶の種類も多く、
その名は全国に知れ渡っています。
「安渓鉄観音」は年に4回採取することができ、「春茶」、「夏茶」、「秋茶」、
「冬茶」に分類されます。その中で「春茶」が最も有名です。
茶を摘むのは、晴天の日の北風が吹く日が最もいいと言われています。
実際当地では、茶摘みは主に、晴天の日の午前10時から午後3時頃に行われています。
鉄観音の製造工程は、通常の烏龍茶とほぼ同じで、発酵の過程が微妙に違うだけです。
一般的には、一かけて発酵させ、その他すべての工程を一昼夜で行わなければなりません。
安渓省の鉄観音は、葉に重量感があって、美しい緑色をしています。香りは高く、
味は濃厚で、飲んだ後の爽快さがあり、7杯目までその味を楽しめると言われています。
国内外の博覧会に出品し、多くの賞を得ている一品です。 |
|
|
|
|
中国黄茶の中で最も名高いのがこの「君山銀針」です。唐代に始まり、
清代には皇帝への献上茶とされ名を馳せました。湖南省岳陽県、
洞庭湖の中島で栽培されています。
島は、砂質の土壌で肥沃、年平均温度は16〜17度、年降雨量は1340mの湿度の
高い場所です。春・夏は湖の水が水蒸気となって、常に雲と霧に覆われています。
こうした環境は、茶の栽培には最適で、山地部には、茶園が広がっています。
清代には、君山茶は「尖茶」と「茸茶」に分類されました。「尖茶」はその名の通り、
鋭く尖っていて、「茸茶」は、白い毛が短く、柔らかく生えて、密生しています。
高貴な香りと、さっぱりした甘みが特徴です。お湯を注ぐと、すべて茶柱になった後、
浮き沈みを3回ほど繰り返します。
「君山銀針」の茶摘みは「清明(4/5〜4/20日)」の3〜4日前から始められ、
25〜30mmで毛が多く、太めの芽を選んで採取されます。 |
|
|
|
|
雲南普耳茶」は雲南省で栽培される青茶の代表格で、「雲南大葉種」を後発酵させた
お茶で、別名「雲南青茶」とも呼ばれます。もともと普耳県にその茶の集散地が
あったことから、「普耳茶(プーアル茶)」と呼ばれるようになりました。
現在まで1700年以上の歴史を持ち、 “攸楽県”、“萍登県”、“依幣県”など
11カ所の茶の芽を使って加工されたものが「雲南普耳茶」と呼ばれています。
普耳茶の産地は、気候が温暖で雨が多く降り、湿度は比較的高く、土壌は肥沃で
有機質を多く含む所です。普耳茶の木は高く、茶の芽には太い毛が密集しています。
茶の芽は良質で、芽の柔らかさは長時間持続します。
3月に摘み始め、11月まで採取できますが、実際は、「春、夏、秋」の三期に分けて
茶摘みが行われます。
古代、普耳茶は薬用として利用されていました。現在では、脂肪分を分解させる働きが
あることから、食事中に常飲されます。特に、「雲南大葉種」特有の香りは長時間持続し、
渋みのある濃厚な味が、5〜6杯目まで楽しめます。
普耳茶の茶葉には、普通の茶葉と、ひと固まりになったものの二種類があります。
ひと固まりになった普耳茶には、一般的な円形のものから、産地の名前をかたどった、
一見お茶には見えないようなものまであります。
現在では、日本を始め、オーストラリア、アメリカ、フランス、シンガポールなどで
愛飲されています。 |
|
|
|
|
中国で最も著名な緑茶のひとつです。江西省九江市、海抜1543mの「廬山」で
栽培されます。山は険しく、断崖絶壁が多いこの場所は、霧や雲に覆われることが多く、
その霧が天然の覆となって天然の玉露を育てるので、「廬山雲霧」と
呼ばれるようになりました。
時には、雲が険しい山々を何千メートルも連なって流れ、その、谷間を流れる様子が
“滝”が流れているようにも見えることから、「瀑雲布」と呼ばれることもあります。
廬山国立公園は、世界文化遺産に登録されている、有名な観光地のひとつです。
晋の時代に茶の栽培が始められ、唐の時代には各地から名高い文人が集まり、
その後、有名な茶園として発展してきました。有名な詩人「白居易」は、
以前この場所に庵を建て、薬用のために自ら茶園を開墾したと言われています。
宋の時代に皇帝に献上される茶に指定され、その名が全国に広がりました。
「廬山雲霧」の茶葉は柔らかく鮮やかで、カンランのような香りと、
濃厚でさっぱりした味が特徴です。それは、上に上げたような、最高の環境のみでなく、
巧みな工程を経て作り出されています。
茶摘みは「清明(4/5〜4/20日)」の前後に開始され、山の高い所ほど時期を
送らせながら摘まれます。摘む際は、「一芯一葉」が基本とされます。
涼しいところで日陰干しにし、鮮度を保持しながら乾燥されるのがポイントです。
廬山を観光で訪れる人は、必ずお土産、贈り物として買って帰るそうです。 |
|
|
|
|
凍頂烏龍茶」は台湾で最高のお茶と言われており、台湾、南投県鹿谷郷の凍頂山一帯で
栽培されています。台北の文山で栽培される*文山包種茶の姉妹茶と言われており、
包種茶類に属します。強い香りと甘みのある味わいが特徴で、後味の良さは抜群です。
*文山包種茶
発酵度が低く緑茶に近い味で、蘭のような香りと、すっきりした甘みのある味が特徴です。
別名「清茶」とも呼ばれ、台湾でのみ生産されています。昔、四方紙に包んで持ち運んだ
事から、この名前がつけられました。上質のお茶ほど細く、よくねじれています。 |
|
|
|
|
ダージリン、ウバとともに、世界三代銘茶のひとつで「中国茶のブルゴーニュ酒」と
言われています。1915年にパリ万博で金賞を取るなど、数々の賞を受賞し、
英国では「エリザベス女王」の誕生日に祁門(キーマン)を飲むという伝統もあります。
蘭の花の香りともいわれる、高貴な香りが特徴です。タンニンが少ないことから、
多少濃く出しても渋くなりにくいのが特徴です。 |
|
|
|
|
「蘇州茉莉花茶」は中国の茉莉花茶の中でも、最も良質のものです。
清代から茉莉花茶の地として発展を始め、現在まで250年以上の歴史を持ちます。
宋代にはすでに茉莉花が栽培されおり、それが原料となって茉莉花茶が
作られるようになりました。1860年には蘇州茉莉花茶は東北、華北一帯に広がりました。
主に胚を原料として使い、花の香りをメ薫花法モで移します。季節によっても香りの濃淡は
代わり、良質の花ほどその香りも強くなります。 |
|
|
|
|